関西私立中学入試で受験生はどこに集まった?2024〜2026年度の応募者数増加と高校無償化の影響を分析

関西私立中学入試で受験生はどこに集まった?2024〜2026年度の応募者数増加と高校無償化の影響を分析
2024〜2026年度の関西中学受験では、応募者数の増加と学校選びの変化が見られます。

関西の私立中学入試で、ここ数年、受験生の動きに大きな変化が見られます。

少子化が進んでいるにもかかわらず、2024年度、2025年度、2026年度と関西圏の中学受験者数は増加傾向にあります。さらに学校別に見ると、特定の私立中学に応募者が大きく集まる動きも見えてきました。

これは単なる一時的な現象ではなく、関西の学校選びの前提が変わりつつあることを示している可能性があります。

特に注目したいのが、大阪府を中心とした高校授業料無償化の影響です。

高校無償化は、一見すると高校受験の話に見えます。しかし、私立中学受験の多くは「私立中高一貫校に6年間通う」という選択です。そのため、高校3年間の授業料負担が軽くなると、私立中学受験のハードルも下がる可能性があります。

さらに重要なのは、もう一つの流れです。

高校無償化によって私立高校が選びやすくなると、高校入試で人気私立高校に受験生が集まりやすくなる可能性があります。その結果、「高校から入るより、中学から入っておいた方が安心ではないか」という考え方が広がりやすくなります。

つまり、高校無償化は単に「高校の学費が軽くなる」という話ではありません。関西の学校選びにおいて、高校受験と中学受験の関係そのものを変える可能性がある制度なのです。

この記事では、2024・2025・2026年度の関西私立中学入試において、応募者数を大きく伸ばした学校を整理しながら、そこに見える規則性、不規則性、そして高校無償化との関係をわかりやすく解説します。

※注記
本記事では、公開データで比較しやすい日能研「倍率速報」などに掲載されている応募者数をもとに、複数回入試を含む延べ人数で比較しています。実際に受験した人数とは異なるため、学校人気の絶対評価ではなく、入試動向を読むための参考値としてご覧ください。

まず確認:ここで見るのは「延べ応募者数」

今回の記事では、主に公開データで比較しやすい学校別・入試回別の応募者数をもとにしています。

ただし、この数字には注意が必要です。

  • 実際に試験を受けた人数ではなく、応募者数である
  • 複数回入試・午後入試・後期入試を含む延べ人数である
  • 同じ受験生が同じ学校を複数回受けた場合も、延べ人数としてカウントされる

つまり、ここでいう「増えた」は、純粋な学校人気だけでなく、入試日程の組み方、午後入試の有無、併願しやすさも反映しています。

そのため、この記事では単純な人気ランキングではなく、「どの学校が、どのような理由で受験生を集めたのか」を読み解いていきます。

関西中学受験はなぜ増えているのか

少子化の中でも、関西では中学受験を選ぶ家庭の割合が高まっています。

関西圏では、小学6年生の人口が減少しているにもかかわらず、中学受験者数は増加傾向にあります。

つまり、子どもの人数そのものが増えているというより、中学受験を選ぶ家庭の割合が上がっていると見るべきです。

この背景には、いくつかの要因があります。

  • 大学入試への不安
  • 公立中学校への不安
  • 高校受験を避けたいというニーズ
  • 私立中高一貫教育への期待
  • 共学校人気の高まり
  • 面倒見のよい中堅上位校への注目
  • 複数回入試・午後入試の定着
  • 大阪府を中心とした高校授業料無償化の影響
  • 高校から入るより、中学から入っておく方が安心という認識の広がり

特に近年の大きな変化として見逃せないのが、高校無償化によって、私立中高一貫校の費用感と入学戦略が変わり始めたことです。

高校無償化が、なぜ私立中学受験につながるのか

私立中学受験は、中学3年間だけでなく高校3年間も含めた6年間の選択です。

高校無償化は、本来は高校段階の授業料を支援する制度です。ですから、一見すると中学受験とは直接関係がないように見えます。

しかし、私立中学受験の多くは、実質的には私立中高一貫校に6年間通う選択です。

家庭は「中学3年間だけ私立に通う」と考えているのではありません。多くの場合、私立中学に入学し、そのまま内部進学で私立高校へ進むことを前提にしています。

つまり、私立中学受験の費用判断は、中学3年間だけではなく、高校3年間を含めた6年間の総額で行われます。

以前の見え方
私立中学に入れると、6年間ずっと学費負担が重い。

高校無償化後の見え方
中学3年間の負担はあるが、高校3年間の授業料負担はかなり軽くなる。

この違いは非常に大きいです。

中学の授業料、入学金、施設費、制服代、教材費、交通費などは引き続き必要です。それでも、高校3年間の授業料支援が見込めることで、私立中高一貫校の6年間の費用感は以前より軽く見えます。

その結果、これまでは「私立中学は費用面で厳しい」と考えていた家庭が、次のように考えやすくなります。

高校部分の負担が軽くなるなら、中学から私立も現実的かもしれない。

これが、高校無償化が私立中学受験に波及する一つ目の理由です。

高校で入るより、中学で入った方が安心?無償化が中学受験に波及するもう一つの理由

高校無償化は、私立高校を選びやすくする一方で、人気校の高校入試を意識させる要因にもなります。

高校無償化が私立中学受験に影響する理由は、単に「高校3年間の授業料負担が軽くなるから」だけではありません。

もう一つ大きいのは、高校入試で人気私立高校に入りにくくなる、または入りにくいと認識されるようになることです。

高校無償化が進むと、私立高校は「学費が高いから避ける学校」ではなくなります。これまで公立高校を中心に考えていた家庭にとっても、私立高校が現実的な選択肢に入ってきます。

その結果、進学実績がよい学校、大学附属校、面倒見のよい共学校、人気の私立高校には、高校入試で受験生が集まりやすくなる可能性があります。

しかし、私立中高一貫校の場合、高校からの外部募集枠が限られている学校もあります。中学から入学した生徒がそのまま高校へ内部進学するため、高校入試の募集人数は決して大きくないことがあります。

そうなると、保護者の中には、次のような考え方が生まれます。

高校から人気私立に入るのが難しくなるなら、中学から入っておいた方がよいのではないか。

これはかなり合理的な判断です。

中学入試であれば、学校によっては複数回入試や午後入試など、受験機会が複数あります。一方、高校入試では、公立トップ校志望者との併願競争が起きたり、募集枠が限られたりするため、人気校ほど難度が読みにくくなります。

高校無償化が中学受験に下りてくる流れ

  1. 高校無償化で私立高校が選びやすくなる
  2. 人気私立高校に高校入試で受験生が集まりやすくなる可能性がある
  3. 高校から入る難しさ、または難しくなる可能性が意識される
  4. 中学から先に入っておく方が安心という判断が生まれる
  5. 私立中学受験への関心が高まる

つまり、高校無償化は、私立高校を選びやすくするだけでなく、人気私立高校の競争を意識させる制度でもあります。その結果、「高校で入るより、中学で入っておく」という発想が広がり、私立中学受験の増加につながっている可能性があります。

この点は、2024・2025・2026年度の関西私立中学入試を考えるうえで、非常に重要な視点です。

高校無償化は「中堅上位校・共学校」に効きやすい

高校無償化の影響は、すべての学校に同じように出るわけではありません。

灘、東大寺学園、大阪星光学院、甲陽学院、神戸女学院、洛南、西大和学園のような最難関校は、もともと志望理由が明確です。学力、進学実績、学校ブランド、校風によって志望校を決める家庭が多く、無償化だけで志願者が大きく増えるとは考えにくい面があります。

一方で、高校無償化の影響を受けやすいのは、次のような学校です。

学校タイプ 影響を受けやすい理由
中堅上位校 費用面で迷っていた家庭が検討しやすくなる
共学校 男子・女子ともに選びやすく、家庭の検討対象に入りやすい
面倒見のよい進学校 公立中学+塾より、学校に任せたい家庭に刺さる
大学附属・系列校 進路の安心感と費用軽減が結びつきやすい
複数回入試校 新規参入層や併願層が出願しやすい
大阪府内・大阪通学圏の学校 制度の認知度が高く、対象家庭も多い
高校募集が限られる中高一貫校 高校から入るより、中学から入る方が安心と考えられやすい

つまり、高校無償化は、最難関校の志願者を一気に増やすというより、私立中高一貫校を「高所得層だけの選択肢」から「中間層も検討できる選択肢」へ広げる制度と見る方が自然です。

さらに、人気私立高校に高校から入る難しさが意識されることで、中学から先に入っておくという受験戦略も広がりやすくなります。

2024・2025・2026年度で応募者数を大きく伸ばした学校

では、実際に2024年度、2025年度、2026年度の3年推移で、どのような学校が受験生を集めているのでしょうか。

ここでは、公開データで比較しやすい応募者数をもとに、特に動きが目立つ学校を整理します。

学校名 2024年度 2025年度 2026年度 見方
箕面自由学園 約238人 約395人 約616人 3年連続で大幅増。継続増加型
開明 約2,142人 約2,144人 約2,375人 2026年度に一段増。地力のある人気校
京都橘 約486人 約548人 約675人 3年連続増。成長がわかりやすい共学校
関西大倉 約654人 約660人 約843人 2026年度に大きく増加。単年上振れ型
常翔学園 約894人 約1,014人 約1,074人 2025年度に伸び、2026年度も維持
帝塚山学院泉ヶ丘 約810人 約915人 約957人 安定増加型
大阪女学院 約416人 約400人 約519人 2026年度に反発。女子校の再評価
帝塚山 約1,805人 約1,604人 約1,891人 2025年度に減少、2026年度にV字回復
三田学園 約1,090人 約969人 約1,125人 2026年度に回復。反発型
高槻 約2,217人 約2,268人 約1,882人 2026年度は調整局面

この表を見ると、すべての学校が同じように伸びているわけではないことがわかります。

大きく分けると、次の3タイプがあります。

  • 3年連続で伸びている学校
  • 2026年度に大きく伸びた学校
  • 人気校だが2026年度に出願調整が起きた学校

継続的に伸びている学校:箕面自由学園・京都橘・常翔学園・帝塚山学院泉ヶ丘

3年連続で伸びている学校は、一時的な人気ではなく、学校評価そのものが高まっている可能性があります。

3年推移で見たとき、もっとも注目したいのは、単年だけではなく継続的に伸びている学校です。

箕面自由学園:3年連続で大きく伸長

箕面自由学園は、2024年度から2026年度にかけて、応募者数を大きく伸ばしています。しかも、特定の入試回だけが跳ねたのではなく、複数の日程で幅広く増えています。

これは、学校そのものへの注目度が上がっていることに加え、受験生側から見て「併願しやすい学校」として組み込みやすくなっていることを示しています。

箕面自由学園の伸びは、一時的なブームというより、学校の認知度、入試設計、受験生層の広がりがかみ合った結果と考えられます。

京都橘:中堅上位共学校人気の象徴

京都橘も、2024年度から2026年度にかけてきれいに増加しています。

特に、午後入試や後半日程での伸びが目立ちます。これは、受験生が京都橘を併願パターンの中に組み込みやすくなっていることを意味します。

関西中学入試では、初日午前に本命校、午後や翌日以降に併願校を置く受験設計が一般化しています。その流れの中で、京都橘は「受けやすい」「検討しやすい」「進学先としても納得できる」学校として存在感を高めています。

常翔学園:大学附属的な安心感と進学校的な魅力

常翔学園は、2024年度から2025年度に大きく伸び、2026年度もその勢いを維持しています。

常翔学園の強みは、大学附属的な安心感と、進学校としての現実的な選択肢の両方を持っている点です。

近年の保護者は、単純な偏差値だけでなく、通学のしやすさ、学校生活の充実、大学進学への安心感、面倒見のよさを重視する傾向があります。その流れの中で、常翔学園は選ばれやすい位置にあります。

帝塚山学院泉ヶ丘:地域内での評価が着実に上昇

帝塚山学院泉ヶ丘も、3年連続で応募者数を増やしている学校です。

派手な急増ではありませんが、安定して増えている点は重要です。南大阪・泉北方面において、通いやすさ、教育内容、進学実績を総合的に評価する家庭から支持を集めていると考えられます。

2026年度に大きく伸びた学校:開明・関西大倉・大阪女学院・帝塚山・三田学園

2026年度に大きく伸びた学校は、学校人気・併願戦略・前年倍率など複数の要因が重なった可能性があります。

一方で、3年連続増加ではないものの、2026年度に大きく伸びた学校もあります。

このタイプは、学校人気の上昇だけでなく、前年倍率、併願パターン、入試日程、受験生心理などが複合的に影響している可能性があります。

開明:もともと強い学校が、2026年度にさらに伸びた

開明は、2024年度・2025年度ともに2,000人を超える応募者を集めていた人気校です。2026年度にはさらに増え、非常に大きな延べ応募者数となりました。

開明の場合、「突然人気が出た」というより、もともと強かった学校が、関西中学受験全体の拡大局面でさらに受験生を集めたと見るべきです。

前期・中期・後期という複数回入試が機能しており、第一志望層にも併願層にも選ばれやすい学校です。

関西大倉:2026年度に大きく上振れ

関西大倉は、2024年度から2025年度にかけてはほぼ横ばいでしたが、2026年度に大きく伸びました。

これは、3年連続の安定増加というより、2026年度に受験生が大きく集まった単年上振れ型と見られます。

ただし、大阪府内の中堅上位校であり、通学圏や教育内容の面でも検討しやすい学校です。高校無償化によって私立中高一貫校を考える家庭が広がった場合、こうした学校は受験生の選択肢に入りやすくなります。

大阪女学院:女子校の中で2026年度に反発

大阪女学院は、2025年度にやや減少した後、2026年度に大きく増えました。

女子校全体が一律に伸びているわけではありませんが、大阪女学院のように英語教育、国際性、伝統、校風がはっきりしている学校は、再評価される可能性があります。

共学校人気が強まる中でも、個性のある女子校には根強い需要があります。大阪女学院の増加は、その象徴の一つと見ることができます。

帝塚山:2026年度にV字回復、女子人気が目立つ

帝塚山は、2025年度にいったん応募者数を減らしましたが、2026年度に大きく回復しました。

特に目立つのは女子の増加です。帝塚山は共学校でありながら、女子からの支持が非常に厚い学校です。

四天王寺、神戸女学院、洛南、西大和、高槻などを視野に入れる女子上位層にとって、帝塚山は重要な選択肢になっています。

2026年度の帝塚山は、単なる単年増というより、2025年度の落ち込みを取り戻したうえで、女子人気によって再び存在感を高めた学校といえるでしょう。

三田学園:兵庫郊外型の共学校として回復

三田学園も、2025年度に下がった後、2026年度に回復しました。

三田学園は、兵庫県内の共学校として、立地、校風、進学実績、通学圏の広がりなどが評価される学校です。

ただし、3年連続で増えているわけではないため、急成長校というより、2026年度に人気を戻した反発型と見るのが妥当です。

一方で、高槻のように「人気校ゆえの調整」も起きている

人気校ほど、前年倍率を見た出願調整が起きることがあります。

ここで注意したいのが、高槻の動きです。

高槻は、2024年度、2025年度と非常に多くの応募者を集めていました。しかし、2026年度は大きく減少しています。

これを単純に「人気が落ちた」と見るのは危険です。

高槻は、医学部志向、難関共学校、大阪医科薬科大学との関係性などから、非常に強い人気を持つ学校です。人気が高いからこそ、前年の倍率や難度を見て、受験生側が出願を調整することがあります。

つまり、人気校ほど、応募者数が毎年一直線に増えるとは限りません。

前年に応募者が集中すれば、翌年は「少し避けよう」という心理が働く。これが中学入試の不規則性です。

3年推移から見える規則性

2024・2025・2026年度の動きを見ると、関西私立中学入試にはいくつかの規則性が見えてきます。

規則性1:複数回入試・午後入試を持つ学校は伸びやすい

箕面自由学園、開明、京都橘、常翔学園、関西大倉などは、いずれも複数回入試を持っています。

関西の中学入試は、初日午前、初日午後、2日目午前、2日目午後という短期決戦型の受験パターンが定着しています。

その中で、受験生が複数回出願しやすい学校は、延べ応募者数を伸ばしやすくなります。

つまり、応募者数の増加は、学校人気そのものだけでなく、入試日程の設計力も大きく関係しています。

規則性2:中堅上位の共学校が選ばれやすい

偏差値だけではなく、共学校・面倒見・通学・進学実績・費用感を総合的に見る家庭が増えています。

2026年度に特に目立ったのは、最難関校ではなく、中堅上位の共学校です。

開明、京都橘、関西大倉、常翔学園、三田学園、帝塚山学院泉ヶ丘などは、まさにこの層に入ります。

保護者の心理として、次のような判断が強まっていると考えられます。

  • 最難関だけを狙うのはリスクが高い
  • 通いやすく、進学実績もある学校を選びたい
  • 共学校でのびのび学ばせたい
  • 学校生活の充実も重視したい
  • 費用面でも現実的に考えたい
  • 高校からの入学競争を考えると、中学から入る方が安心だと考えたい

これは、単なる偏差値志向から、学校生活、進学実績、通学圏、教育内容、費用負担、そして入学時期まで含めて総合的に見る流れへの変化です。

規則性3:高校無償化は「私立中高一貫校の費用感」と「入学戦略」を変える

高校無償化は、中学受験そのものを直接支援する制度ではありません。

しかし、私立中学受験を検討する家庭にとっては、中高6年間の費用感を変える制度です。

さらに、私立高校が選びやすくなることで、高校入試で人気私立高校に受験生が集まりやすくなる可能性もあります。

その結果、家庭の中では、次のような判断が生まれます。

高校で人気私立に入る競争をするより、中学から先に入っておく方が安心ではないか。

この発想が広がると、高校無償化は高校受験だけでなく、中学受験にも影響します。

特に大阪府のように私立高校への授業料支援が手厚い地域では、私立中高一貫校を「一部の家庭だけの選択」から「より現実的な進路選択」へ広げる効果があります。

これは、関西中学受験の増加を考えるうえで無視できない要因です。

一方で、不規則性もある

ただし、すべてを高校無償化だけで説明することはできません。

関西中学入試には、不規則な動きもあります。

不規則性1:前年倍率が高いと、翌年に出願調整が起きる

高槻のような人気校では、前年の応募者数や倍率が高くなると、翌年に受験生が出願を避けることがあります。

これは学校評価の低下ではなく、受験生側の合理的な出願調整です。

不規則性2:単年で大きく増えた学校は、翌年の反動に注意

関西大倉、大阪女学院、帝塚山、三田学園のように、2026年度に大きく伸びた学校は、2027年度も同じ勢いが続くかどうかを慎重に見る必要があります。

2026年度の増加が、学校評価の本格的な上昇なのか。あるいは、併願パターンや前年倍率の影響による一時的な増加なのか。

この違いを見極めるには、2027年度のデータが重要になります。

不規則性3:入試制度の変更で単純比較が難しくなる

3年比較で注意したいのは、入試制度の変更です。

入試回の名称が変わったり、新しい入試区分が加わったりすると、単純に2024・2025・2026の数字を並べても、完全な同条件比較にはなりません。

特に、午後入試、特色型入試、英語型入試、自己推薦型入試を含める場合は、数字の読み方に注意が必要です。

高校無償化で、これからの学校選びはどう変わるか

これからの学校選びでは、偏差値だけでなく、費用・通学・教育内容・校風まで含めた総合判断が重要になります。

高校無償化によって、私立中高一貫校を検討する家庭は今後さらに増える可能性があります。

ただし、保護者が見るべきポイントは「授業料が無料になるかどうか」だけではありません。

  • 中学3年間の学費はいくらか
  • 入学金・施設費・制服代・教材費はいくらか
  • 通学時間は無理がないか
  • 高校進学時の条件はどうなっているか
  • 高校からの外部募集枠はどうなっているか
  • 大学進学実績はどうか
  • 学校の面倒見はよいか
  • 子どもの性格に校風が合うか
  • 入試日程が併願しやすいか

高校無償化は、あくまで学校選びの前提を変える一つの要因です。

大切なのは、費用負担の軽減をきっかけに、偏差値だけではなく、6年間の学校生活全体を見て志望校を選ぶことです。

そしてもう一つ、高校から入るのか、中学から入るのかという視点も、今後ますます重要になります。

まとめ:2026年度入試は「中堅上位共学校」と「中学から先に入る戦略」を強く印象づけた

2024・2025・2026年度の関西私立中学入試を見ると、応募者数の増加には複数の要因が重なっています。

その中でも、特に重要なのは次の点です。

  • 少子化の中でも中学受験率が上がっている
  • 最難関校だけでなく、中堅上位校・共学校に受験生が広がっている
  • 複数回入試・午後入試を持つ学校が延べ応募者数を伸ばしやすい
  • 高校無償化によって、私立中高一貫校の費用感が変わっている
  • 高校入試で人気私立高校に入りにくくなるという認識が、中学受験を後押ししている可能性がある
  • 人気校では前年倍率を見た出願調整も起きる

特に注目したい学校は、継続的に伸びている学校として、箕面自由学園、京都橘、常翔学園、帝塚山学院泉ヶ丘

2026年度に大きく伸びた学校として、開明、関西大倉、大阪女学院、帝塚山、三田学園

一方で、高槻のように、もともとの人気が高い学校では、倍率や前年動向を見た出願調整も起きています。

2026年度の関西中学入試を一言でまとめるなら、次のようになります。

最難関校一極集中ではなく、共学進学校・中堅上位校・併願設計に強い学校へ、受験生が大きく広がった年度。

そして、その背景には、高校無償化によって私立中高一貫校をより現実的に考えられるようになった家庭の増加があります。

さらに、高校無償化によって私立高校が選びやすくなる一方で、高校入試で人気私立高校に入る難しさも意識されるようになりました。その結果、「高校から入るより、中学から先に入っておく」という受験戦略が広がっている可能性があります。

今後の関西中学受験では、偏差値だけでなく、費用、通学、教育内容、入試日程、学校の面倒見、そして高校からの入りやすさまで含めて、より総合的な学校選びが求められるようになるでしょう。

参考にした主な情報

  • 日能研 関西中学入試 倍率速報
  • 大阪府 私立高校生等への授業料支援制度
  • 文部科学省 高等学校等就学支援金制度関連資料
  • 各学校の入試結果・募集要項等の公開情報

気になる学校が出てきたら、まずは過去問で出題傾向を確認しよう

ここまで、2024〜2026年度の関西私立中学入試で応募者数を伸ばした学校を見てきました。

ただし、応募者数が増えている学校だからといって、すべての受験生に合うとは限りません。中学入試では、学校ごとに出題傾向が大きく異なります。

たとえば、算数の難度、国語の文章量、理科・社会の知識量、記述問題の有無、時間配分の厳しさなどは、学校によってかなり違います。

そのため、気になる学校が出てきたら、まずは過去問を確認して、実際の問題との相性を見ておくことが大切です。

過去問は、単に「解くための教材」ではありません。志望校の出題傾向を知り、わが子に合う学校かどうかを判断するための重要な資料です。

特に、応募者数が増えている学校は、今後さらに注目度が高まる可能性があります。早めに過去問に触れておくことで、志望校選びや併願校選びの判断材料になります。

この記事で取り上げた学校の過去問を確認する

以下の学校を検討している方は、過去問で実際の出題傾向を確認しておくことをおすすめします。

  • 箕面自由学園中学校
    近年、応募者数を大きく伸ばしている注目校です。複数回入試を含め、出題傾向を早めに確認しておくと安心です。

  • 開明中学校
    もともと応募者数の多い人気校で、2026年度も大きく伸びています。算数・国語を中心に、問題の難度と時間配分を確認しておきたい学校です。

  • 京都橘中学校
    3年連続で応募者数を伸ばしている共学校です。併願校として検討する場合も、出題形式の確認は欠かせません。

  • 関西大倉中学校
    2026年度に大きく応募者数を伸ばした学校です。今後の注目度も考えると、早めに過去問で傾向をつかんでおきたいところです。

  • 常翔学園中学校
    大学附属的な安心感と進学校的な魅力をあわせ持つ学校です。基礎力重視か、思考力重視か、実際の問題で確認しておくとよいでしょう。

  • 帝塚山学院泉ヶ丘中学校
    南大阪・泉北方面で安定した支持を集めている学校です。通学圏と合わせて、出題傾向も確認しておきたい学校です。

  • 大阪女学院中学校
    英語教育や国際性、伝統ある校風で人気の女子校です。国語や英語関連の出題傾向にも注目して確認したい学校です。

  • 帝塚山中学校
    2026年度に大きく応募者数を回復させた注目校です。特に女子からの支持が厚く、併願校としても出題傾向の確認が重要です。

  • 三田学園中学校
    兵庫県内の共学校として、安定した人気を持つ学校です。通学圏や校風とあわせて、過去問で問題傾向を確認しておくと判断しやすくなります。

  • 高槻中学校
    医学部志向・難関共学校として高い人気を持つ学校です。応募者数に年ごとの調整はありますが、難関校としての対策は早めに始めたいところです。

過去問を見ておくと、「偏差値だけではわからない学校との相性」が見えてきます。志望校選びに迷っている場合は、まず気になる学校の問題を実際に確認してみてください。

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