かぐや姫はなぜ月へ帰ったのか|竹取物語の作者・あらすじ・背景をわかりやすく解説
かぐや姫はなぜ月へ帰ったのか|竹取物語の作者・あらすじ・背景をわかりやすく解説

赫映姫は、なぜ月へ帰らなければならなかったのでしょうか。
子どものころに聞いた「かぐや姫」は、竹から生まれた美しい姫が、最後に月へ帰っていく不思議な昔話だったかもしれません。
けれども、大人になって『竹取物語』を読み直すと、この物語の印象は大きく変わります。
そこに描かれているのは、ただの幻想ではありません。
欲望に振り回される男たち。
権力でも手に入らない女性。
月を見て泣く姫。
そして、大切な人と別れなければならない人間の悲しみ。
『竹取物語』は、日本最古級の物語文学でありながら、現代の私たちにも深く刺さる「別れ」と「手に入らないもの」の物語です。
この記事では、『竹取物語』の作者、あらすじ、時代背景、日本文化への影響を、古文が苦手な方にもわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 『竹取物語』とはどんな作品か
- 作者や成立時期について
- かぐや姫の物語のあらすじ
- 五人の貴公子が出された難題
- かぐや姫が月へ帰る意味
- 『竹取物語』が日本文化に与えた影響
- 原文・現代語訳・品詞分解で読むメリット
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このブログでは、『竹取物語』を最初から最後まで、原文・現代語訳・品詞分解つきで順番に解説していきます。
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竹取物語とは何か
『竹取物語』は、平安時代前期ごろに成立したと考えられている、日本最古級の物語文学です。
物語は、竹取の翁が、光る竹の中から小さな女の子を見つける場面から始まります。
その女の子は、美しく成長し、やがてなよ竹の赫映姫と名づけられます。

かぐや姫の美しさは世間に広まり、多くの男たちが結婚を望みます。しかし、かぐや姫は簡単には誰とも結婚しません。
五人の貴公子に対して、それぞれ手に入れることが極めて難しい宝物を求めます。さらに物語の終盤では、かぐや姫が地上の人ではなく、月の都の人であることが明かされます。
つまり『竹取物語』は、誕生、成長、求婚、試練、別れ、天上世界への帰還を描いた、幻想的でありながら人間的な悲しみに満ちた物語なのです。
竹取物語は日本最古級の物語文学
『竹取物語』は、日本最古級の物語文学として知られています。
『源氏物語』の中では、『竹取物語』を「物語の出で来はじめの祖」とする表現が見られます。
これは、『竹取物語』が後の日本文学にとって、非常に重要な作品だったことを示しています。
もちろん、昔話や伝承はそれ以前から存在していたと考えられます。しかし、物語文学としてまとまった形で残り、後世に大きな影響を与えた作品として、『竹取物語』は特別な位置にあります。
竹取物語の作者は誰か
『竹取物語』の作者は分かっていません。つまり、作者不詳です。
ただし、作品の内容を見ると、作者はかなり教養のある人物だったと考えられます。
- 平安貴族の生活や恋愛の風習
- 和歌のやり取り
- 仏教的な考え方
- 天竺や唐土など外国への知識
- 権力者や貴族社会への風刺
- 月の都や不死の薬といった幻想的な設定
このことから、『竹取物語』は単なる民話ではなく、宮廷文化や知識人層の感覚を反映した作品だと考えられます。
竹取物語の成立時期
『竹取物語』がいつ成立したのか、正確な時期は分かっていません。
一般には、平安時代前期、だいたい9世紀後半から10世紀前半ごろに成立したと考えられています。
この時代は、貴族文化が発展していく時期でした。貴族たちは和歌を詠み、手紙を交わし、恋愛や結婚にも独特の作法がありました。
竹取物語の簡単なあらすじ

ここで、『竹取物語』の全体の流れを簡単に確認しておきましょう。
1. 光る竹の中から女の子が見つかる
竹取の翁は、野山に入って竹を取り、それをさまざまなことに使って暮らしていました。
ある日、翁は根もとが光る不思議な竹を見つけます。近づいてみると、竹の筒の中に三寸ほどの小さな女の子がいました。
翁はその子を家に持ち帰り、妻の嫗とともに大切に育てます。
2. かぐや姫は美しく成長する
その子を見つけてから、翁は竹の中から黄金を見つけるようになります。翁の家はだんだん豊かになっていきます。
小さな女の子は、わずか三か月ほどで美しい娘へと成長します。
やがて、三室戸斎部秋田によって、なよ竹の赫映姫と名づけられます。
3. 多くの男たちがかぐや姫に求婚する
かぐや姫の美しさは、世間に広まっていきます。身分の高い人も低い人も、かぐや姫を見たい、結婚したいと思うようになります。
しかし、かぐや姫は簡単には誰にも会いません。それでも多くの男たちは、家の周囲をうろつき、垣間見ようとします。
4. 五人の貴公子に難題を出す

多くの求婚者の中でも、特に熱心だった五人の貴公子がいました。
| 求婚者 | 読み | かぐや姫が求めたもの |
|---|---|---|
| 石作皇子 | いしつくりのみこ | 仏の御石の鉢 |
| 車持皇子 | くらもちのみこ | 蓬莱の玉の枝 |
| 右大臣阿倍御主人 | あべのみうし | 火鼠の裘 |
| 大納言大伴御行 | おおとものみゆき | 龍の首の珠 |
| 中納言石上麻呂 | いそのかみのまろ | 燕の子安貝 |
5. 五人はそれぞれ失敗する
五人の求婚者は、それぞれ難題に挑みます。しかし、誰も成功しません。
ある者は偽物を持ってきます。ある者は職人に宝物を作らせて嘘をつきます。ある者は財力にものを言わせて手に入れようとします。ある者は無謀な冒険に出ます。ある者は滑稽な失敗をしてしまいます。
ここには、単なる冒険物語ではなく、平安貴族への風刺が込められています。
6. 帝とかぐや姫
五人の貴公子が失敗したあと、帝もかぐや姫の美しさを知ります。
帝はかぐや姫を宮中に迎えようとしますが、かぐや姫はそれを拒みます。
どれほど高い権力を持つ帝であっても、かぐや姫を自分のものにすることはできないのです。
7. かぐや姫は月へ帰る

物語の終盤、かぐや姫は月を見て悲しむようになります。
そして、自分はこの国の人ではなく、月の都の人であると告白します。
八月十五夜、月の都から迎えがやってきます。翁と嫗はかぐや姫を守ろうとします。帝も兵士を送ります。
しかし、天人たちの力の前では、人間の力はまったく及びません。
かぐや姫は、地上の人々との別れを悲しみながら、月へ帰っていきます。
8. 不死の薬と富士山
かぐや姫は月へ帰る前に、帝へ手紙と不死の薬を残します。
しかし帝は、かぐや姫のいない世界で永遠に生きても意味がないと考えます。
そこで、不死の薬を天に最も近い山で焼かせます。この山が、のちに「富士の山」と呼ばれるようになったと物語では語られます。
竹取物語と平安時代の結婚観
『竹取物語』を読むうえで大切なのが、平安時代の結婚観です。
現代の結婚とは違い、当時の貴族社会では、男性が女性のもとへ通う「通い婚」の形が一般的でした。
女性は家の奥にいて、簡単には人前に姿を見せません。男性は、噂や和歌、手紙などを通して女性に関心を持ち、夜に女性のもとへ通いました。
『竹取物語』でも、かぐや姫は帳の内に大切に育てられ、外の人からはなかなか見ることができません。
かぐや姫を手に入れようとする男たちの姿には、欲望や見栄、権力への皮肉も込められています。
五つの難題に込められた意味
かぐや姫が五人の貴公子に出した難題は、物語の大きな見どころです。
単に「無理な注文を出した」というだけではありません。そこには、求婚者たちの本性を明らかにする役割があります。
| 難題 | 意味・読みどころ |
|---|---|
| 仏の御石の鉢 | 信仰や誠実さを装う者への試練 |
| 蓬莱の玉の枝 | 嘘や虚飾を見抜く試練 |
| 火鼠の裘 | 財力や取引だけでは届かないものの象徴 |
| 龍の首の珠 | 名誉欲と無謀さへの皮肉 |
| 燕の子安貝 | 欲望と滑稽さを暴く試練 |
五人は、それぞれ身分も財力もある人物です。
しかし、かぐや姫が求めたのは、表面的な地位や言葉ではありません。
本当に深い心があるのか。嘘をつかないのか。相手を手に入れる対象として見ていないか。
そうしたことが、難題によって試されているのです。
竹取物語は日本最古級のSF・ファンタジーでもある
『竹取物語』は、昔話として知られています。
しかし、視点を変えると、日本最古級のSF・ファンタジーとしても読むことができます。
- 光る竹
- 竹の中から現れる小さな少女
- 急成長する不思議な存在
- 月の都
- 天人の迎え
- 不死の薬
- 地上と天上の別れ
これは、現代のSFやファンタジーにも通じる設定です。
竹取物語と月の美意識
『竹取物語』において、月はとても重要な存在です。
月は、ただ夜空に浮かぶ美しいものではありません。
かぐや姫にとって、月は故郷です。同時に、地上の人々にとっては、かぐや姫を奪っていく悲しい場所でもあります。
月は、美しさ、遠さ、清らかさ、手の届かなさ、そして別れを象徴しています。
竹取物語と無常観
『竹取物語』の最後には、大きな別れがあります。
翁と嫗は、かぐや姫を我が子のように育てました。帝も、かぐや姫を深く思いました。
しかし、誰もかぐや姫を地上に留めることはできません。
どれほど大切にしても、いつか別れは来る。どれほど愛しても、永遠に一緒にはいられない。
この感覚は、仏教的な無常観とも重なります。
竹取物語と富士山

物語の最後で、帝はかぐや姫が残した不死の薬を焼かせます。
その場所が、天に最も近い山です。この山が、のちの富士山につながると語られます。
富士山は、日本を象徴する山です。
その富士山が、不死の薬、天、月、煙と結びつくことで、物語の結末はより神秘的になります。
竹取物語が日本文化に与えた影響
『竹取物語』は、後世の日本文化に大きな影響を与えました。
現在でも、かぐや姫は多くの作品で描かれています。
- 絵本
- 昔話
- アニメ
- 映画
- 漫画
- 舞台
- 音楽
- ゲーム
「竹から生まれた姫」「月へ帰る美しい女性」「手の届かない存在」「別れを残して去っていく人」。
こうしたイメージは、日本文化の中に深く根づいています。
原文で読むと、竹取物語の印象は変わる
多くの人は、かぐや姫の物語を子ども向けの昔話として知っています。
しかし、原文で読むと印象が変わります。
- 古文特有のリズム
- 敬語表現の美しさ
- 和歌のやり取り
- 貴族社会への皮肉
- 登場人物の滑稽さ
- 別れの場面の深い悲しみ
古文が苦手な方でも、現代語訳や重要語句の説明と一緒に読むことで、物語として十分楽しむことができます。
このシリーズの特徴
- 難しい漢字には読み仮名をつけます
- 原文と現代語訳をセットで読めます
- 品詞分解で古文の学習にも使えます
- 重要古語や文法ポイントも整理します
- 物語の背景や日本文化との関係も解説します
- 印刷して使えるPDF版も順次用意します
竹取物語全文解説シリーズ予定
このブログでは、『竹取物語』を最初から最後まで、原文・現代語訳・品詞分解つきで読んでいきます。
| 回 | 内容 |
|---|---|
| 第1回 | かぐや姫のおひたち①|光る竹から生まれた少女 |
| 第2回 | かぐや姫のおひたち②|黄金の竹と急成長 |
| 第3回 | かぐや姫のおひたち③|世の男たちを惑わせる美しさ |
| 第4回 | つまどひ①|五人の貴公子の求婚 |
| 第5回 | つまどひ②|かぐや姫が出した五つの難題 |
| 第6回 | 仏の御石の鉢|石作皇子の失敗 |
| 第7回 | 蓬莱の玉の枝|車持皇子の大きな嘘 |
| 第8回 | 火鼠の裘|阿倍御主人の失敗 |
| 第9回 | 龍の首の珠|大伴御行の無謀な挑戦 |
| 第10回 | 燕の子安貝|石上麻呂の転落 |
| 第11回 | 御狩のみゆき|帝とかぐや姫 |
| 第12回 | 天の羽衣①|月を見て泣く姫 |
| 第13回 | 天の羽衣②|月からの迎え |
| 第14回 | 不死の薬|富士山へつながる結末 |
| 第15回 | 竹取物語まとめ|かぐや姫は何を象徴しているのか |
まとめ|竹取物語は、ただの昔話ではない
『竹取物語』は、多くの人が知っている「かぐや姫」の物語です。
しかし、原文をたどっていくと、そこには昔話という言葉だけでは収まりきらない深さがあります。
竹の中から現れる不思議な少女。
美しさに惑う男たち。
五つの難題に込められた風刺。
帝でさえ留められない存在。
月へ帰る姫。
不死の薬と富士山の伝説。
『竹取物語』は、日本最古級の物語文学であり、恋と嘘と別れと月の物語です。
大切な人と一緒にいられる時間には限りがあります。美しいものは、いつまでも手元には置けません。だからこそ、その時間はかけがえのないものになります。
このシリーズでは、『竹取物語』を原文からやさしく読み進めていきます。
次回予告
次回は、いよいよ本文に入ります。
竹取の翁が、光る竹の中から小さな女の子を見つける場面です。
今は昔、竹取の翁といふものありけり。
印刷用PDFについて
『竹取物語』の原文・現代語訳・品詞分解を、印刷しやすいPDF教材としても順次まとめています。
古文の復習、家庭学習、授業準備、大人の学び直しにご活用ください。


